企業分析

企業分析-アンジェス株式会社(4563)

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今回は国内で新型コロナウイルスのワクチンを開発しているアンジェス株式会社(4563)の簡単な企業分析をしていきたいと思います。

アンジェス株式会社(4563)の事業全体像

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アンジェス社は大阪大医学部、森下竜一教授創業の創薬ベンチャー。遺伝子治療薬を核に核酸医薬など開発多彩している企業です。1999年に設立されてます。 難病、稀少病を対象に遺伝子医薬品を開発していて創薬技術・開発技術を活か事業化を目指しています。DNAプラスミドを用いた治療ワクチンの開発にも取り組んでいます。事業としては「パイプライン」「アライアンス」の2つあります。

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パイプラインでは遺伝子の力を用いて治療する遺伝子医薬の開発を行っています。新型コロナウイルスの予防用DNAワクチンを開発しているのも話題となっています。またゲノム編集による難病治療の開発研究もこちらの事業で行っています。

アライアンスでは子会社や、業務締結などでゲノム編集、マイクロバイオーム研究開発 、診断事業(抗がん剤)を行っています。

アンジェス社のビジネスモデルは

1.ライセンスアウト等のアライアンス(契約)締結時の「契約一時金」
2.研究開発に対する経済的援助として受け取る「開発協力金」
3.研究開発の進捗(予め設定されたイベント達成)に応じて受け取る収益である「マイルストーン収入」
4.上市医薬品の売上高の一定割合を受領する「ロイヤリティ収入」

となっています。

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新型コロナウイルスのワクチン開発では遺伝子治療製品のノウハウを活かして世界初のプラスミド製剤による開発を進めています。

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ゲノム編集分野では米国のEMENDO社を買収しています。

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そもそもゲノム編集とは、 特定の塩基配列(ターゲット配列)のみを切断するDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)を利用して、思い通りに遺伝子を改変する技術です。 まだ世界でも実用化できていないという課題があります。

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業績について

今回はの2021年12月期決算から見ていきます。

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創薬会社の特性は基本的に研究開発に費用がかかるので赤字が続きます。だた今回は前期末子会社化した米エメンド社のれん償却と営業赤字が損失大幅拡大要因になっています。

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事業費用の内訳を見てみると半分以上が研究開発費となっています。その分創薬が完成し承認されれば莫大な利益を得ることができるのがバイオベンチャーの特徴です。

<株価>

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※2021年6月時点

アンジェス社の株価はコロナ禍前までは400円前後ですが、その後大きく上昇。新型コロナウイルスのワクチン開発が報じられると6倍以上値が付きました。

3C分析

今回はアンジェス社を3C分析で見ていきたいと思います。

Customer(市場・顧客)

医薬品市場は世界でも大きく成長をしています。特に年々バイオ医薬品の売上高は増加していて2022 年には約 3,249 億ドル(バイオ医薬品比率37.5%、抗体医薬品 1,728 億ドル)に達すると売上の増加が予測されています。市場規模は約86兆円という巨大な市場規模となっています。 新薬開発の中心はバイオ製薬に移行しています。

国内では国民医療費が圧迫している状況の中政府が、薬価を引き下げる一方、新薬加算という制度を設置して新薬を創出する企業が優先的に投資回収できるようになっています。研究開発しやすい環境構築が徐々になっています。

ちなみに新型コロナウィルスの市場規模は2028年に5000億円になるとの予測されています。一時的な市場規模と考えがちですがパンデミック関連の抗体ウイルス薬はニーズが減少しない傾向にあるようです。

Competitor(競合)

競合は国内だけではなく海外にもあります。 遺伝子治療分野では、 HSCI(Human Stem Cells Institute)社・韓国のViroMed社・ イスラエルのプルリステム・セラピューティクス社・ イギリスではRexgenero社など。

Company(自社)

田辺三菱製薬社・塩野義製薬社といった国内有力製薬企業との提携に成功していること。 その提携により開発協力金、マ イルストン収入、ロイヤリティ収入を得ることで、開発リスクを低減しています。研究開発にはお金と時間が必要で体力勝負なのでこの環境は大事です。

まとめ

新型コロナウイルスのワクチンでアンジェス社は注目されています。このアフターコロナでもワクチン需要はあると思うので今後の動向が気になります。

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