企業分析

岸田総理の原発再稼働発言、ただの既定路線だった。以前厳しい電力事情について。

7/14、岸田総理が会見において、「原発を最大9基稼働させる」という発言をしたことで翌日の電力会社の株価は大きく値上がりしました。

しかしながら、その内実は元々稼働が予定されている原発について言及しているだけで何か政治的な動きがあったわけではありませんでした。

9基というのは既に動いている原発も含まれている

発表の翌日となる7/15、国民民主党の玉木代表のツイートで実情が明らかになりました。

各地域の電力会社の調整を行う電事連においても、下記のようなコメントがされています。

電気事業連合会の池辺会長は、原発の最大9基の稼働はこの冬の予備率の見通しにすでに織り込んでいると明らかにし、この冬の電力需給は依然厳しい状況との考えを示しました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/47ec077aeada8ccd75920a8725c9f3811fd5e548

つまり、既に再稼働を織り込んでいるものを、あたかも政治主導で動かしているような演出をしているに過ぎないということです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/47ec077aeada8ccd75920a8725c9f3811fd5e548

市場も反応せず

このように、実態としては既定路線を単に発表したに過ぎず、東京電力の株価を見ると、岸田総理の会見翌日は上昇したものの、すぐに株価は元に戻りました。

参院選で大勝した直後の発表でしたので、当初は「岸田総理がついに覚醒したのか」という反応もありましたが、結果だけ見るとまたしても「何もしていない」と言うことが明らかになりました。

自民党の「黄金の3年間」でどうなるか

自民党は、今回の参院選で大勝したことから、衆議院・参議院ともに過半数を超える議席を獲得しました。

さらには、今後3年間国政選挙がないことから、自民党としてやりたいことができる「黄金の3年間」と言われる状態になりました。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB118Y40R10C22A7000000/

自民党は憲法改正が本懐であるので、そこに向かって邁進するのでしょうが景気対策や原発再稼働などにもしっかり気を配ってほしいですね。

そう言う意味では、今回の再稼働発言は参議院選挙も終わって迅速に動き出すことを予感させ、好意的に受け止めたのですが、そこはやはり良くも悪くも岸田文雄(今回は悪い意味ですが)ということでしたね。

電力インフラは社会基盤である

電力会社は、従来安定した業績と高配当によって「ディフェンシブ株」とされていましたが、3.11以降、原発のリスクや電力自由化など、従来とは全く異なる立ち位置となりました。

その結果、首都圏エリアにおいてはもう少しで大規模停電が起きるという状況まで追い込まれました。

安定した電力供給、低廉な電気料金というのは、電力会社の業績以上に他の産業にも大きな影響が及ぼします。たとえば工場においては電気料金というのは低ければ低いほど良いですし、グローバル化の現代においては安いコストで製造できる場所に工場が立地されます。

また、家庭の電気料金が高ければそれだけ可処分所得が下がりますから、他の企業の業績にも影響は小さくありません。

検討使(けんとうし)とも揶揄される岸田総理ですが、新たな産業への投資促進のほか、一刻も早い再稼働をしていただきたいと切に願います。