企業分析

日本郵政が楽天株を800億円減損?状況をわかりやすく解説します!

楽天と資本業務提携をしていえた日本郵政が、保有している楽天株の評価額について減損するというニュースが飛び込んできました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2d253c518901ac4593d4887ce20a873f1b66fef9

今回は、これがどういうことなのかわかりやすく解説したいと思います。

楽天と日本郵政の関係

なぜ資本業務提携したの?

2021年3月、楽天と日本郵政は資本業務提携に合意しました。業務提携の概要としては、共同の物流拠点の構築や物流DXの推進などを目的としており、さらには全国の郵便局を活用した楽天モバイルの販売活動なども含まれています。

https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2021/0312_02.html

日本郵政はいくら出資したの?

日本郵政が楽天の株式を第三者割引増資により、約1,500億円取得しています。持株比率としては約8%の大株主となりました。

全国に物流網を持っていながらも、人口減少やDXなど事業環境が大きく変化している中、日本郵政として、楽天の事業リソースや知見を獲得したかったものと思われます。

楽天株を減損ってどういうこと?

そもそも減損って何?

減損というのは、書いて時の如く、損失が生じた証券会社の保有価値を減じる処理のことを言います。

例えば、ある株式を時価評価で100億円分保有していたとしましょう。その企業の事業が思い通りにいかず低迷したことによりその企業の株価が半分の50億円になった場合、その差額の50億円を損失として計上しないといけないのです。

必ず減損処理が必要なの?

ただし、保有している有価証券の全てが減損処理が必要かというとそうではありません。

減損の判定基準というものがあり、楽天は上場していることから時価評価が可能ですが、時価が取得原価の50%以上下落した場合に原則減損処理をすることになります。

https://keiriplus.jp/tips/kessan_yuukasyouken_genson/#:~:text=%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E3%81%AE%E5%A0%B4%E5%90%88%E3%80%81%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%9F%BA%E6%BA%96,%E3%81%AF%E3%80%81%E6%B8%9B%E6%90%8D%E5%87%A6%E7%90%86%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%86%E3%80%82

日本郵政は、2021年3月29日に出資金を払い込みしたと記載されており、その時点での株価は約1.300円程となります。

2023年6月時点では株価は500円を割っていますので、原則的に減損処理をする必要が出てくるのです。

それにしても、買った直後から株価駄々下がりで、凄まじいジャンピングキャッチですね。

日本郵政の株価はどうなる?

今回は保有している楽天株を800億円規模の減損処理をするとされており、これにより日本郵政の業績に多少なりとも影響すると思われます。

日本郵政の2023年3月期の業績を見ると、当期純利益は4,310億円となっています。日本郵政は、全国に郵便局を持つ日本郵便や、ゆうちょ銀行などを保有する日本有数の大企業であることから、経営に大きな影響を及ぼすものではないと思われます。

ただし、それ以上に既存事業の高度化や新規事業の取り組みに暗雲が漂ってきていることが同社にとっては厳しいのだろうと推測します。

まとめ

日本郵政はかつて、オーストラリアの物流会社に投資をして、結果として5,000億円近い減損処理を余儀なくされましたが、今回の楽天出資においても800億円という多額の損失に迫られました。

今回の楽天株価の低調は、ひとえに楽天モバイル事業の影響が大きく、楽天本体自身の経営基盤も揺るぎかねない状況となっています。今のところ、業績回復の見込みは薄く、主力事業の楽天銀行や楽天証券なども売らざるを得なくなり、楽天経済圏まるごと崩壊の危機になっています。

前述しましたが、日本郵政が購入以降、楽天株は株価駄々下がりであり、日本郵政のジャンピングキャッチ力を改めて実感した次第です。